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エコデザイン
これからは長寿健康住宅
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- - - Oct/1999
金堀一郎
(株)住宅デザイン研究所

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 バリアフリー、あるいは高齢化対応は、エコデザインの課題に含まれるか−、もちろん含まれるべきである。エコデザインといえば、身辺に氾濫する合成化学物質の害の究明と、それを許した経済と生活の仕組みへの反省がテーマとなるが、それらを価値論的に議論する場を設定するとすれば、それは長寿健康であろう。長寿健康住宅は、地球と人間と生物の長寿と健康推進を目指す家造りである。以下に要点を述べる。
1.自然の恵みを享受する
 徒然草に曰く「家づくりは夏を旨とすべし」、光や風は間取りや材料と同様に重要である。風の通り抜ける家は心地よいもの、そのためには、窓を低い位置に設けることが肝心である。クーラーの普及のせいで、日本本来の設計作法が忘れられている。気をつけよう。
2.美しい家を目指す
 自分の服を選ぶときには熱心なのに、住宅は他人まかせであるのはなぜか。住宅にはインテリア、間取り、外観など自己実現を楽しむ要素が無限にある。家族で話し合い、明確なポリシーをもって家づくりに望みたい。ただし、言うことを全然聞いてくれないゲイジツカは論外としても、自分の言うなりになる設計者もやっぱり駄目。施主のイメージを、責任もってより高い次元(ここにエコデザインが含まれる−A.H.マズローの欲求7段階説、図1参照)で実現してくれるプロを選びたい。
3.風化しないデザイン
 軒や庇がまったくない木造住宅は、木材がたちまち風化する、まるでショーウィンドウのように全面ガラス張りの住宅は、住んでいる人が真っ先に風化する−というのは冗談であるが(本当に冗談のような住宅が建築雑誌を飾っている)、周囲の環境に調和し、永く飽きない外観を与えたい。「形態は機能に従う」とは無用な装飾への戒め、最初は物足りないくらいがよいか−。
4.木造軸組は時代の変化に対応しやすいエコロジー住宅
 住宅を簡単にスクラップ&ビルドすることが資源の無駄遣いと環境汚染を引き起こす。住宅を永く大事に使うには、住宅の耐久性を増すことももちろんであるが、腐朽した部材を取り換えたり増改築することが容易な軸組工法を採用したい。ライフステージは7年ごとに変化する。取り壊されている住宅の大半が機能的耐久性によるものであることを考えると、「成長する家」にしておくことが肝要である。なお、モデュールは在来910ミリより大きめの950ミリを推奨したい。それから、2階の階段ホールを広く作っておくと、良いことがあるかも−。
5.健康増進住宅のパラダイム
 オイルショック以来、エアコンが画期的に進化したせいで、われわれはエアコン住宅から離れられなくなってしまった。高気密高断熱住宅は、エアコンの一年中使用を前提とした省エネ住宅である。家の中には、日の当たる処当たらない処、暖かい処涼しい処があって当たり前。季節変化もまたしかり。五官で確かめられる住心地を回復したい(長寿健康住宅のパラダイム、図2)。 エコロジー住宅を作るヒントを探るために、建築材料を人間との距離で分類してみると、図3のとおりである。グループ別に材料の特性をみると、@からA→B→Cに進むほど生産性(均質性)、機能、コスト面で優位にあり、逆に進と、反対に心地よさの評価の順になる。@Aグループの、再生産可能な土に還る材料による家づくりが、エコデザインのテーマとなろう。
6.不便さのすすめ
 ペットを屋内で飼うと、二度と外で飼えなくなる。人も同じ事ではないか。機能性や便利さを
追い求めた住宅のままでよいのか、今一度問い直してみる必要がある。こうした時代背景において求められるものは、むしろ「不便さ」ではないのか。手の掛かる天然素材を愛し、家庭内に労働があった少し前の時代の住宅に学んでみたい(要約)。
左図
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日本インテリア学会中国四国支部